『カムイの海』 水中写真に参考になる本7


征夫さんの本をもう一冊ご紹介したい。
 
『カムイの海』
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中村 征夫  ()
 
この写真集も、
すでに、絶版
アマゾンでは、中古で手に入る。
 
 
征夫さんは
『カムイの海』で、
1996年 第12回東川写真賞特別賞受賞されている。
 
この写真集の凄いところは、
オホーツク海の季節ごとの温度感までも、
映像化している点であると思う。
 
日本の水中カメラマンは、
明るくさわやかな海の演出に特化して、上手いと言える。
 
しかし、
その場所の雰囲気正確に、伝えるとしたら、
「征夫さん」の足元にも、及ばない。
 
前回の『全・東京湾で、
詳しく書いたので、見てほしい。
 
今回は、
構図と、ライティングについて書いてみたいと思う。
 
表現を優先しているので、
構図が自由な発想が常にある事
 
通常、
 
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この様な構図をすると、
逃げている印象を与えるが、
「征夫さん」が撮影すると、そんな印象が全くない。

寒い海の中に、を感じさせる微妙な明るさのバランスは、
簡単には、マネできないものである。
 
迫力を優先して、撮られたカットでは、
ハリ魔王が、当時も、現在も、唸ってしまうのが、
このカット
 
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『カムイの海』では、
縦位置の映像ワザワザ横位置で掲載している。
 
普通は、
縦横を変えると、
ページを開いた瞬間に、
違和感を強く感じる物なのだが、
このページは、
一瞬、
日の出の光を浴びている岩肌のように見えるφ(・ω・ )メモメモ
 
これだけは、
実際の写真集を開いて鑑賞してほしい。
 
それから、
本来の縦位置にして、
見てもらうと、オオカミウオの顔をどの様に、見せたいのか
人間が、左から右に見る傾向を利用したライティングを使って
迫力を加えている。
見る人によって、
怖そうとか・強そうとか・不細工とかの感情が生まれるだろう。
そう、一灯で撮影している。
 
さらに、
牙の様な歯から、
この顔から想像できないほどやさしい眼差しまで
ピントがキテいる。
 
被写界深度の中に、絞りを絞る事だけでは、カバーできない。
マクロレンズ画角から考えて、不可能なものである。
何ミリで撮影しているのだろう。
そこに、気が付くと、
ワザワザ、
計算してその組み合わせを水中に、持ち込んだ事がわかる。
 
当時のニコンのレンズが、
素晴らしかった事、
当時の使用ハウジングのドームポートの
出来がよかった事がわかる。
 
怪魚のイメージを強くするために、
半分を、完全に、黒ツブレをさせているが、
これは、低感度フィルムを使わなければ、
不可能だ。
その上、絞っているのだから、
GN値の大きい物を使わなくてはならない。
 
カメラ本体の能力は、
今のデシタル一眼の上級モデルの中に、
可能な物が、登場しているかφ(・ω・ )メモメモ
 
ストロボは、
イノンのZ-240でも不可能だろう、
照射角度は、足りるが、ガイドナンバーに余裕がない。
GN36YS-D2では、
照射角度により、撮影範囲の制限が生まれるだろう。
 
フィルム時代の
YS-350TTL以前の機種のスペックがなくてはならない。
このような、
撮影に、余裕のあるストロボは、現在作られていない。
 
この写真集で最も、
一般的な逢いたい生物のランク急上昇したのが、
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今流行の兆しの海洋生物撮影法ナイトトラップと同じ、
浮遊系の撮影である。
 
当時、
36しか撮影できない中で、
この映像を物にできるφ(・ω・)メモメモ
集中力は、常人の想像するレベルにはない。
 
自分が、
水中に、水族館で見るハダカカメガイと、
一緒に浮遊して、あのサイズを撮影する事を想像してほしい。
 
それは、
流氷のくる一番寒いシーズンで、
流氷ダイビング用の厚手のドライスーツに、
寒冷地用の分厚いミトングローブをして、
レギュレーターが、凍結してフリーフローを起こす前の
限られた時間内で、繊細なピント合わせが必要である。
 
もちろん、当時、この撮影には、
唯一の寒冷地設計のレギュレーターを使用している。
 
そのメーカーの当時、
日本代理店だったメーカーに在籍していたので、
『カムイの海』を発売と同時に、見る事ができた。
 
ここで、
一緒に働いていた。
大学の先輩と自分の感じ方の違いを大きくしることになる。
 
は、ここへ潜りに行きたくなったという。
同じように、撮影したいという。
 
ハリ魔王は、
もうここでは、これ以上の瞬間は、撮れないと当時考えた。
 
現在は、
北海道には、
有名な水中写真であり、ガイドである方が、いらっしゃる。
 
その方たちの映像表現と、
『カムイの海』の表現以外に、
インパクトのある映像ハリ魔王が、
短期間で撮れるとは思えない。
 
今なら、迷いベルーガならチャンスがあるかもしれない()
 
さて、
では、一般の方たちの場合は
 
一種類の生物が多い場所である北海道では、
季節の変化をしっかりと、
理解してのぞめば、その成果は、得やすいと思う。
その為の準備に、
何が必要かを教えてくれるヒントが、
『カムイの海』には、たくさん、含まれている。
 
また、
自分の近いフィールドで、
採用する事が、
可能なテクニックもたくさんあると思う。

 
征夫さんの写真集は、
映像表現のチャレンジ大切さと
それを支える影技大切さを教えてくれる
 
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